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言われたほうは覚えている

第一夜

人から言われたことというのは、ずっと覚えているものだ。言った側が「そんなことを言ったかなあ?」と思っていたとしても。特にそれが、マイナスに作用する言葉であったとしたら尚更である。

 

最近私が言われてたのは(例に漏れずこれもまたずっと覚えているのだろう)、ニオイ玉についてのことだ。恋仲にある人から指摘されたのだが、最初は訳の分からなかった。ニオイ玉という言葉なんて聞いたことのなくて、果たしてそれが褒めているのか貶しているのかの判断すらむつかしかった。曰くニオイ玉というのは溜まってしまったヨゴレのことらしく、これがひどく匂うらしい。口臭や体臭であるとか、いわゆるエチケットと呼ばれる分野に、自分は気をつかっているほうだと自負していた私は、とても傷ついた。恋人に対し、なんてひどいやつなんだと思った。ほんとうに(今は指摘してくれてありがとうと思っているのだけれども)。それからというものの、恋人と会うときには欠かさず口のチェックをしてもらうようになった。口を大きく開け、「せーの」で匂ってもらうのだ。

 

これは先日のことだが、いつものように口をチェックしてもらっているとき、ふいに「親知らずが生えてきているね」と言われた。それもまた私を驚かせるのには十分な発言であった訳だけど、落ち着いて考えてみると、親知らずを発見できたのは恋人のお口チェックのおかけで、そもそもお口チェックをするようになったのも恋人のニオイ玉指摘によるものである。まるで頭があがらない。もう何を言われても文句を言ったりしないので、気づいたことはどんどん言ってほしい気持ちがある。

 

それにしても、親知らずは抜歯の際ひどく痛むのだろうか?