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駐輪場の犬は欠伸をしながら

学生の時分、アルバイトが終わったあとコンビニにでお菓子を買うのがすきだった。しかし、あれでもないこれでもないと考えていると選びきれなくなってしまい、毎回300円(学生には大金だ)くらい使ってしまう。それ故アルバイト終わりにコンビニへ行くのはなるべく控え、「どうしても」という時だけ行くようにしていた。

 

 ある日バイトが終わり「今日はお菓子のいいかな」とそのまま家に帰ったのだが、帰宅した途端どうしてもうまい棒(私はコーンポタージュ味がすきです)を食べたくなった。居ても立っても居られなくなった私は再び三和土で靴を履き、外に出た。駐輪場で自転車に跨りコンビニへと向かったのだが、事件は帰りぎわに勃発する。

 

無事うまい棒を我が手中に収めることのできた私は、「今ここで食べてしまいたい!」という気持ちを抑え帰路へ。

 

家に着く。自転車のスタンドを下ろす。カゴに入れていたコンビニの袋を手に持つ。それから施錠をする。勇んで玄関へと足を踏み出す。あれ、何か今視界の端で動いたような。なにかな

 

あッ

 

それは、何かの生き物だった。大きさは私のちょうど腰くらいで、色は黒。鼻息は荒く、開いた口からは舌がこぼれている。なんでこんなところに犬が?そう、犬が居たのだ。駐輪場の白い柱にビニールひもで括られた犬が。私がその生き物を見、犬であると認識できるまでの間、時間はユックリと流れた。あまりにも突然の邂逅であったためか、全身が強張り、うまく立てない。それでも二足歩行ロボットのステップを駆使し、なんとか我が城にたどり着くことのできた。

 

翌朝、件の犬はいるだろうかと駐輪場に行ったのだけれども、ビニールひもだけを残し、犬はどこにも居なかった。何だったのだろう?