サプライズをするときは

読者諸賢よ敢えて聞こう、サプライズしあってるかい?

 

かくいう私は、最近恋人にサプライズをした。恋人が愛らしいハンドタオルを見ているのを盗み見、「あとで行けなくなるかも知れないよ」と巧みに恋人をトイレへ促したあと、サッと件のハンドタオルを購入した。渡すと恋人はとても喜んでくれ、すべては大団円のうちに幕を引いたかのように思えたが、実は1つだけ後悔したことのある。

 

それは何かと問われると、その渡し方であった。愛らしいハンドタオルを購入するまでは良かったが、如何せんその先を考えていなかった。果たして私はどのように渡せば良いのだ?途方にくれ、戸惑い、地団駄を踏んだ。しかし混乱の渦中にも関わらず、恋人は戻ってくる(トイレがすばやい)。

 

ステキな策を企てることのできなかった私は、着ていたコーチ・ジャケットの内側に慌ててハンドタオルをねじ込み、「さあ行こうか」と焦りを悟られないためにも、慣れないエスコオトをした。ああ どうしよう。

 

歩を進めれば出口の近づく。宇宙的法則に則って、あっという間に我々は出口付近まで来てしまった。サプライズの失敗だけはどうしても避けなければならぬ。そこで私は恋人を呼び止めた。「プレゼント自体はウレシイが、なんじゃそのヘナチョコな渡し方はッ」と罵倒されても宜なるかなと思いつつ、私はあろうことか「じゃじゃーん」という使い古されてすりきれてしまった股引のような効果音とともに、ハンドタオルを取り出して恋人に渡してしまった。

 

しかし恋人は最初に書いた通り、少しの間を置いて、それをうれしそうに受け取ってくれた。罵られて「おともだちパンチ」をお見舞いされずにほんとうに良かった。今回は恋人の日本海溝的深さの懐に包まれたからこそ助かったものの、次はもう少しうまく渡したいなと思う。