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汝の名は達磨なり

第二夜

私がまだ小さき毛玉として、そこいらに転がる綿埃と毛頭変わりなき頃、物欲というものがあまり無かった。おそらく自分の好みをちゃあんと把握しきれておらず、世に溢れる物たちの中から何かを選択するという作業ができなかっただけだと今になって思うのだけれども。

 

そういう訳で新年の催しこと初売りに対して、いつもジレンマを抱えていた。店頭には福袋が立ち並び、すれ違う人は皆目当ての物を手中に収め満足気である。ずるい。私も何かを手に入れたい。しかし何が欲しいかが分からない。

 

そんな中無理に福袋を買ったりするものだから変なものを掴まされ、「こんなことなら買うんじゃなかったな」と悔いる。しかし正月の圧倒的めでたさの前では全てが無に帰す。臥薪嘗胆の叶わず、来年も変なものを掴まされる。

 

 そして年月の流れること幾星霜。大きくなった現在の私の物欲はパンパンに膨れ上がり、小さき私を悩ませた忌まわしきジレンマは圧死した。

 

 向かうところ敵なしとなった今年のお正月は、開店前より並んで無印良品の「福缶」を購入し、前々から買おう買おうと思っていたジーンズさえも購入した。

 

時間の流れが解決してくれる問題というのは、割に多い気がする。蛇足だけれども、思い切って購入したジーンズも実はサイズが大きかったみたいで、これも時間が経てば解決するのだろうか?